【考察】現代における武道の役割

平和な時代と武道

コロナ禍により沢山のジムや道場が損害を被っています。

政府も感染拡大を避けるべく自宅での運動を推奨している状況下,わざわざ外出してまで行う運動の意義が問われているのではないでしょうか。

特に武道は平和な現代において実用性は低くなる一方です。

踊るように楽しめるボクササイズやダイエットダンス等が動画配信サイトで無料公開されている世の中で,敢えて辛い鍛錬を伴う武道が存在する意義について考えました。

コロナ禍で浮彫になった現代化の罠

日本でのCOVID-19感染拡大が法的拘束力を持たない要請でも抑えられた原因に,伝統的な「同調圧力」が挙げられています。

同調圧力は現代化の中で度々槍玉に上げられる日本古来の習性ですが,災害大国で培われた風習はやはり意味があったのです。

反対に現代化においては,他者の人権侵害が無い限り個人の自由をできるだけ尊重しようとする風潮が存在します。

仮にこの風潮が普及し同調圧力が無くなっていたとすると,自粛しない自由を振りかざす人々が気兼ねなく外出し感染者数も膨れ上がったと予想されます。

退化しては意味がない

現代化が掲げる自由は諸刃の剣であり,その問題点は上で挙げた通りですが,勿論良いこともあります。

自由化と法治主義を徹底した結果,現代日本は世界で稀に見る程表現や言論の自由が認められており,国家権力により迫害されるようなことは非常に珍しくなりました。

ですので突然世論が変わっても,あなたが大切にしてきた文化を理不尽に法規制されたりはしませんし,法が逆にあなたを世論から守ってくれます。

同調圧力を無批判に肯定してしまうと世論が間違っていても反対意見がかき消されてしまう為,今回の感染症対策で例えれば経済活動が全て止められてしまうような,世界大戦時相当の暴走が起こり得るのです。

選択肢を広げるための武道

では自由を認めた上で,無謀で無責任な行動を抑制する為にはどうすれば良いのでしょうか?

答えの一つに,武道で大切にされている忍耐や平常心を保つ鍛錬があります。

世の中が増々便利になる中で,物理・心理的なストレスへの耐性を身に着けられる機会は貴重です。

厳しい鍛錬の経験は心の支えとなり,難しい状況下に陥った時に判断力を失い自己中心的になるのを防いでくれます。

自身の耐久値を底上げし常に広い視野から行動を選択できるようにする,というのが現代における武道の役割だと言えるでしょう。